2.きみを乗せて孤独のなかへ走ってゆく列車の叫び

ScenePlayer:一式悠 / Place:自宅

一式はい
GM白い壁。窓辺のカーテンは春先の風にゆらゆらと揺れている。どこかで鳴るナースコールの音。からからと音を立てて走るストレッチャーの振動。
そんな世界の中、見覚えのある中年の女性が、パイプ足のベッドに茫洋と座っている。年相応にシワの刻まれた手は、ゆっくりとベッドシーツを撫でている。

GMその女性をキミは知っている。”《消された男》の妻”だ。それはつまりキミの母なのだけれど、キミは”そう”知っている。
GM彼女は空のベッドを撫でる手を、じっと見つめている。その姿を見あげるキミはぼんやりと頭痛を覚えていた。耳の後ろの毛細血管に流れる脈がひどくうるさかった。
GM彼女にゆっくりと歩み寄る男性。その人物をまた、キミは知っている。《消された男》――ああ、今は《黄泉孵り》だったか。どちらの名前で呼ぶべきか、キミは少し迷う。迷う必要はないはずなのに、だって彼はキミの父なのだから、けれどキミは少し迷う。
GM迷っているうちに、男は女の肩に手を置いた。
GM女が口を開く。男に顔を上げることもない。「あなたのせいよ。」女はそういった。
GM男は黙ってその方に置いた手を、さするように動かした。なにも言わない。女は追撃する。「あの子は知っていたのね。聡い子だから……あなたのせいだわ」男はなにも言わない。
GMキミはそんな言葉の固まりを聞きながら、ぼんやりと”彼女”がいなくなったことを理解した。思考を悩ませる頭痛は首に伸びていって、背骨すら鈍痛を訴えている気がした。
GM女が顔を上げた。男をにらむように見上げた視線が、キミの視線とぶつかる。
GM女はその、キミの記憶の中にある穏やかな、ひょうきんめかした、凜とした笑みとは全く違う怒りの表情をゆがめる。まるで感情の決壊を迎えるかのような表情をたたえたまま、ベッドからゆらりと立ち上がった。
GMキミに向けて2歩、3歩。手を伸ばせば頬に触れられるほどの距離で彼女は膝をつく。
キミはほんの少し視線を動かすだけで良かった。それだけでキミは、女の視線の高さと揃った。
女が手を伸ばし、キミの頬に貼られたままのガーゼに触れる。指先の暖かさは感じない。ただ、その下にあるひっかき傷にガーゼが押しつけられて、ぴりりといたんだ。頭から背骨にかけての痛みの中でも、その小さな痛みは無視できなかった。

GM「ごめんなさいね」女は今にも泣き出しそうな鼻声で言った。
キミは理解している。女の謝罪は自分に向けられていない。ただ男への当てつけか、それとも自分の後悔を昇華したいがために、ただ謝った。
「ごめんなさいね」もう一度、彼女は繰り返した。キミはかぶりも振らなかった。呼吸も出来ていない気がした。

GM「あの子はきっと帰ってくるわ。」女は言う。頭が痛い。背骨も痛い。頬もいたい。呼吸も出来ないのは、横隔膜を侵食する何者かのせいだろうか。わからない。
ただ、キミは理解している。”彼女は帰ってこない”。

GMキミは思う。「なんの為に?」この頭痛も、背骨に至る痛みも、呼吸を忘れた苦痛も、それらに掻きむしった頬も、あの日の喉が裂けそうな絶叫も、うるさいほどの脈拍に眠れなかった夜も、定まらぬ視界も、その視界の中に倒れる友も、仲間も、血反吐を吐く彼らに混ざり吐き出した胃液も、効かない麻酔も、何もかも、「なんの為だった?」
何らの意味もなくした。あの痛みに、この痛みに耐え続ける意味はもうなくて、そのくせその事実もこの現実もなくなりやしなくて、

GMキミが口を開いた。呼吸も出来ていないくせに、何か言おうとして口を開いた。当然言葉なんて出てくるわけもなくて、視界が暗転した。
GM暗闇の中で、誰かが言う。
GM「なにもなくなるのは、怖い。」
GM「忘れられるのはいいよ。忘れられたって、僕はここにいるんだから。でも、忘れてしまったら、僕はなんの為に生きているのかもわからない。なにもわからない。」
GM「今まで出会った人のことも、僕は飲み込んで生きていくんだと思う。そう思ってる。でも、それを忘れてしまったら、僕はなにもなくなってしまうよ。だから、それが怖い。忘れたくない。」
GM「忘れたら、何もかもなくなる気がする。」
GMキミはその声に、暗がりの中で笑って応えた。
GM「なくならんよ。」
GMその笑い声は、我ながら少しかたいものだったと思う。だってなくならないことは、少し痛い。痛いけれど仕方なくて、それは喪失の痛みとか言う奴で、つまり持ち得た希望があったと言うことだから、笑えるけれど、満開というわけでもない。
GM「忘れても、ここにいるんだからさ。ここにいるってことは、会ったってことだし――全部、経験したってことだろ。」
GM「例えば、《純愛の薔薇を育てし者》と会ったのなんて、正直一回だけだよ。すげえ……感銘? 感動? そんなもん、うけたけど。忘れるとしたら、たぶんすぐに忘れられるのかもしんないね。クズ対応で忙しいし。」
GM「でも、もし忘れたとしても、お前と会ったのは《純愛の薔薇を育てし者》と縁があったからだし――」
GM「こうしてお前と話せてるのも、あれからなんやかやあったことも、全部、あのときに置いて行かれたからなんだよ。」
GM「……置いて行かれたもなにも、向こうはしらんだろうけどさ。」
GMそんな軽口を叩けるくらいに、キミは笑えている。
GM「だから大丈夫。忘れたってたいしたことない。今僕らがこうしてんのは、過去の一切合切があったからだし――それは忘れたって、何にも変わんないんだよ」
GM「まあ、お前は身体がないとかそういうのあるのかもしれないけどさ。」
GM「ま、僕を自分の身体だと思ってればいいよ。いずれ姿をとれるようになれたなら、それはそれでいいし。」
GM「誰かにお前をいつか、引き継ぐよ。僕がいたから、お前は次の誰かに繋がっていく。《純愛の薔薇を育てし者》がいたから、僕はそうできる。次の誰かで僕のことも、《純愛の薔薇を育てし者》のことも忘れても、その事実は変わんないんだよ。」
GM「だからまあ、」
GM「寝ろよ。僕眠いんだよ。貴重な睡眠時間なんだよ寝かせてくれよ……」
GMそんな愚痴を最後にこぼして、ふうと息をついた。
GMそしてキミはゆっくりと目を開ける。
GM見慣れた天井。隣で寝息を立てる夫。静かな深夜。隣のダイニングの鳩時計が、ぽっぽうと暢気な午前2時を知らせる音。
GMお待たせしました
GMほんとうは昼に前うちしておこうかと思ってたんだけど思った以上に仕事が忙しくて……
一式おつおつ……
GM全部夢でしたよ
GMまあ起きたらyouが見てた夢でも見てたってわかると思う
一式鳩時計夜中になって起こされたかのようだ
GM半分そうでは?
一式冒頭you君だったのね
一式夜中にならないようにしとこう!!!!
GMどっぺるに混ざってたyouだわね だからほぼどっぺるでいい
一式にゃるほど
一式「……。」「2時」「……私も貴重な睡眠時間……」
you「すみません(沈痛)」
一式あの子は知ってたってのはあれか人体実験?
you「(ぶるぶる)」
GM母親は知っていて、一式サンはジッサイ知らなかったんだけど、母親視点「あの子は聡いから知ってたんだわ! それで出て行ったのよ!」っていうやつ
GMそうね>実験
一式「いやまあ夢はしょうがないけれど……ダブルも煩い夢みたりするし…」「なんでぶるぶるしてるの」
一式なるほど
一式パパ上手く隠せてたのね!!!
GMジッサイはただの駆け落ち
you「起こしてしまって……(ふるふる)」
一式「なんでふるふる……」
you「……申し訳なくて……」
you「……でも、ずっと、気になっていたんです。」
you「あのときに”彼”が言ったこと。言っていたこと。」
一式「ホテルの1階分しか地図を覚えてくれなかった時にその半分でもいいから申し訳なさを覚えてほしかったわね」
GM根に持ってるぅ
you「すみません(沈痛)」
一式つい><
一式「彼って新しい方の柊木?」
一式「赦すけど次は1/3ね。」
you「新しい……」「はい。記憶をコピーしたのに、なんで。って。」
you「ダブルさんも1/3ですよね??」
一式「柊木2号?組織に改造されてるし」「確かにさっきのあなたの夢でみた柊木とは違うこといってたわね」
一式「2/3」
一式だぶるくんのちょっといいとこみてみたい
you「2号……」「はい。……あのときに言ってたの。僕が昔、彼に言ったことなんです。僕が昔、そうやって愚痴言ったときに、大丈夫だよって笑い飛ばしてくれたのに」
you「一式サンは?????????」
一式「え……ブラックとホワイトとかがいいの?プリキュア的に」「別個体だから考え方とか違うのかしら、と思ってたけれど……本人の記憶じゃないから、とかなのかしら」
一式「地図を用意する」
you「二人はふたりだからいいんじゃないですか、同じじゃダメなんですよ(力説)」「でも、記憶は同じなのに。別人じゃなくて……意識は、本人じゃないですか。」
you「用意したあとは」
you「……結局、身体が別なら他人なんでしょうか。自分が自分だって思うのは、記憶や。感情や。意思だけじゃ、足りなくて。身体も同じじゃなきゃ、ダメなんですか。」
一式「あ、うん。そこはなんかごめんね」「自分が自分だって思うのは本人の問題だろうから私には分からないけど……。身体云々をいうなら、ドッペルのとこにいたyouと私といるyouは別になりそうだけど、あなたそのままyouでしょう」
GM一式サンのごめんねにとりあえず流しとこって意思を感じて笑う
一式「任せる。<用意したあと」
一式違うもん><
一式オタクの熱い意志のところににわかが適当な例えを持ち出して悪いことをしたなって気持ちだよ
一式こどもも熱いこだわりあるじゃん
you「わかって頂ければ幸いです」「はい。……だから、僕にとっては。あの……一式サンが新しいとか2号っていった陵も、陵なんです。本人がそうじゃないって言っても、それが変な遠慮とか……そういうのだったら。何にも変わんないだろって、言ってやりたいんです。」「でも、」「でも。なんで、って。あのとき、僕に話したとき、彼は確かにそう、忘れても平気だって、大丈夫だって笑い飛ばして……僕の不安なんてとっくに乗り越えてたのに。」「まるで、僕の不安が移ったみたいな、……」
you「だから、別人なのかなって。でも、それじゃあ、何が違うんだろうって。記憶も、意思も、一緒だったのに。なにも変わらないのに。」
you「”自分自身”は、何をもって”自分自身”って言えるのか、って……考えてたら……」「すみません……(沈痛)」
一式「別に私はあれがドッペルゲンガーと同一でも別人でもどっちでも良いのよ。厳密にいえばあれは生命体としては別個体でしょう。身体が別なんだから個体としては別だし、多分私がエフェクトで呼び出したら二人別個に呼べるんじゃない?試さないけど。」
「その上でどっちでも良いわ。本人がどっちとして扱って欲しいとか、遠慮して本人じゃないって思ってるなら別にそういうのはいらないと思うし」

一式「どっちにしても私から目の前の柊木に対しての接し方がそう変わるわけじゃないし……」
you「なんて心ない試み<呼べるんじゃない?」
一式「そりゃあ別人として扱ってほしいなら、前の個体の所業を責めることはしないだろうけど。だから、本人の意思次第じゃないのかしら。」「それにあれが続きの柊木だったとしても、あいつだって別に不安にならないわけじゃないでしょう。人間だし。youがいない分、一人で悩むこともあるでしょうし。だから、そこで別人どうこうってはいえないかなって。」
一式「私も心ある人間だから私とダブル以外が両手で顔を覆いそうな試みはやめておこうかなって」
you「……。」
you「……、……僕には、別には思えなくて。でも、じゃあ、……ひとりで」
you(乗り越えたはずの過去に、振り返らせたのかな。)
you「……後悔って、どうしてもするもんですね。」
一式「じゃあそれでいいんじゃない。だってyouへの心配も気持ちもずっと同じでしょうあの子。」
you「僕があのとき、あんなことを言わなければ。乗り越えて、衝動にも耐えてたのに。乗り越えたのは、ひとりで乗り越えたのに、って。」
you「……ずっと、同じだって……思いたいだけかも、しれないですけどね。」
一式あのときあんなことって夢の話?
GMウン
一式「しょうがないわよ、生きてけば。それにyouがいったから、その時の柊木は言葉にして笑い飛ばせたのかもしれないんだし。何がどう転んでたかなんてわからないもの。」
一式「そういう風にyouが思いたいことだって、同じだって思いたいくらい柊木に愛着もってくれてたんだって喜んでくれるかもしれないんだし」
you「……」「わかんない、ですけど。」「……あの」
you「知っていてください。覚えててください。あいつは、陵は、ちゃんと乗り越えてたんです。忘れたって何があったって、過去があったから今があって、痛いのもいやだったのも辛かったのも全部ひっくるめて飲み込んで、それで……それで、今があって、なにがあっても過去はなくならないって。だから大丈夫なんだって、そう思ってたんです。ほんとうに。」
you「……あなたとのほんの一回の邂逅だって、忘れたくらいでなくすような奴だなんて、思わないでください。」
you「ごめんなさい。僕、案外、全然立ち直ってないんだって、思います。少し……僕も、前見ないとだって……うん。」
一式「youとかイノセントたちほどには柊木のこと知らないけど、忘れるのが怖いっていった柊木にはちょっと違和感はあったのよ。だから、youが言う柊木はは……なんだろうしっくりくる?って感じ。」
一式「私が知ってるのは、柊木が色々ひっくるめて「悪くない」って言えるやつだってこと位だし。」
一式「だから、そんなこと思ってないし、ちゃんと覚えとく。」「別に急いて立ち直る必要はないけど……、まだごたごたはあるから力は貸してっていうかも」
you「はい。あんな不安、……僕が弱いだけで。」
you「はい。……僕は、陵から一式サンに、引き継がれた。って。思っていたいです。ほんとうは帰ってきたんだろうけど、……でも、僕は陵のことを忘れたくないから、引き継がれたんだって。その遺志も。だから、」「僕に今できて、あいつが最後まで守ろうとしたことを、守りたいです。から。」
you「だから、……僕に出来る力を、全部。貸したい、です。」
一式「私もあなたがいたことなんてさっぱり覚えてないしねえ。柊木は死んでるけど、いつか返してあげたいって今も思ってるから、不思議なものよね。これも後悔なのかしら。」「でも、引き継いでくれてるなら、遠慮なく力を借りるわ」
一式「まあそれで最後にやろうとしてた史上最悪の幸運の計画ぶっ潰そうとしてるわけだけど!その辺はkou,」
一式「こう、」
一式「大目にみてもらって」
you「……ありがとうございます。」「はい。いつでも。」
you「――そこは僕もよくわからないんですよね。」「だけど、あいつはこの街にきてからずっと、一式サンに平穏な家庭ー、とか。鶴賀谷に会わす顔ねえーとか。妹かわいそうだなーとか。そんなの考えてたから。それだけは、僕は間違いなく知ってるから、まずは手始めに。一式サンから。です。」
一式「あいつの事件が発端で私の家庭の平穏がやばいことになってた気がするんだけど!!!」
一式「まあ良いわ。平穏な家庭ーって思ってくれて気を回してくれてたのは知ってるし………」
you「すみませんマジすみませんあのときは知らなかったんです(早口)」
一式「そうね、あの時に私の忌まわしい名前口走ってたものね……しょうがないわよね……」
you「いや……でもたぶん知っててもやったと思いますけど……その前に退避してもらってとかそんなん……どうかな……どうだろ……」
一式「そういうやつよねあいつは」
you「《純愛の薔薇を育てし者》」
一式「あいつ本当、私の平穏に対してとか個人に対してとか性格は良い奴よね社会的にわるいやつだけど」
一式「よし戦争だ」
you「すみません降伏します」
一式「降伏したなら私の平穏な家庭を守ってもらいましょう」
you「はい」
you「……まずは、朝のご飯のためにも一式サンの睡眠守らなきゃですね」
you「ありがとうございます。話、聞いてくれて。」
一式「そうねえ……朝に寝坊したら朝から戦争だからね……」
you「毎朝お疲れさまです……」
一式「私で良ければ……というか私かダブルしかいないでしょうけど、いつでも聞くわよ」
一式「オーヴァードで良かったって思う……」
you「はい。……ありがとうございます。」
you「オーヴァードでも身体大事にしてくださいね。……おやすみなさい。」
一式「ありがと。――ん、おやすみなさい」
一式我々もおやすみなさいせねばならない
GMそうしてキミが二度寝に入る前、つむる視界の端で、キミと誰かに苦笑を向けて、肩をすくめたみたいな。キミの中の誰かが見た幻覚かも知れないけれど。
GMお休みしなければならない
一式ハートレスメモリーして現実にしなきゃ
GMということでおやすやぁの〆だよ!長々すみません!!!
一式こっちこそ長引いてすみません!!!!!
GMふたり呼ぶのはやめてあげて
GMせめてひとりにしてあげて
一式あとなんか、そういう人だよ……な感じの返答でごめんね!!!!!!!!
一式面接みたい
一式最初のドッペルさんどうぞー
GMなんにせよ必要だと思ったから!!!!
桐哉ドッペル選別
GM長々お疲れさまでした!!!!
桐哉お疲れ様でしたーー!
一式ならよかったけど!!!!!!
GMわりと途中でGMもどうかえそうか……ってなってたからごめmんね!
一式申し訳ねえいつものPCで……ってなってたごめんね!!!