3.犬でありチビだというだけで蹴とばされる犬

ScenePlayer:早川桐哉 / Place:A市高校

GM《犬でありチビだというだけで蹴とばされる犬》/SP:A高校/場所:早川桐哉
山田やばい
GMあっ
GM《犬でありチビだというだけで蹴とばされる犬》/SP:早川桐哉/場所:A市高校
桐哉しまった気付かなかった
GMなおしたp!!!!!!!!!!!
GMよ!!!!!!!!!
桐哉p!!!!
桐哉登場判定により、桐哉の侵食率が+8(1d10->8)されました。(侵食率:35->43)
GM月曜日。今日もキミはだらだらと登校する。
GM先日の事件の後はじめての登校だ。数日後のカタストロフなど知らぬ生徒たちに紛れ、キミの気分はなかなかに暗鬱としている。
GMそこかしこでかわされる朝の挨拶は快活で、キミの気持ちなど知るわけもない。
GMがらりと教室の扉を開けば、数人の生徒が振り向く。ただのクラスメイトと気づいた彼らはすぐにそれまでの会話に戻る。隣の席ではキミのカノジョがノートとにらめっこしていた。
GMそこまではいつもの風景。けれど、自然に視線が行ったキミの席の後ろ――向田の席――は空っぽだ。
GMキミは一度足を止めていただろうか。ノートから顔を上げた長谷川がキミに気づいて、軽く手を振る。
長谷川叶「オハヨー。今日はちょっと遅かったんね。寝坊?」
GM彼女もまた、数日後のことなど知るよしもない。だから暢気に、昨日寝落ちしてやり損ねた英語の宿題なんかに眉をひそめているのだ。
桐哉それまでも仏頂面だったけど、向田の席見た時はさすがにしかめっ面だったかも
桐哉長谷川に小さく手上げかえして「おう。……そんなもん」
長谷川叶さこさん
長谷川叶わたしだ
桐哉呼んでしまった
長谷川叶なんか強調してると持ったらここチャパレだった
長谷川叶「そっかー。ねえ、宿題やった? あたし寝過ごしちゃってさ、終わってないんだよー」
GMあまりにもいつもの風景。ただ後ろの席だけが空っぽだ。
桐哉「(まあ、あんな宣言かまして来てたらさすがに神経疑うが)」って向田の席みつつ
桐哉「……んあ、出てたっけか? …英語?」って長谷川のノートへ視線移すよ
長谷川叶「そこから!!」「でてたよー。作文の奴……あーもう、向田早く来ないかなぁ。」
GM曲がりなりにも帰国子女だ。英語の文法はやたら苦手だが、彼は作文なら得意だ。あと発音と翻訳も。
桐哉「全然やってねーわ、」「……」
GMキミの沈黙に、彼女は気づいた様子もない。
長谷川叶「もー。早川、絶対今日先生にかけられるよ。先週隣の列だったし」
GM先生にかけられる=先生に指名される
GMごめん新潟の言い回しだった子供の時代が顔を出した
GM早くやりなよ。そんな顔でキミを見上げた彼女が、あ、とその口を丸くする。
向田幸「呼んだかな! 僕の出番? 出番? 文法以外なら任せろ」
向田幸だからでけえんだよ
GMなんて、キミの背後からカバンを肩に引っかけて、やけに左右に揺れて自己主張する向田。
桐哉「……あー、そんときゃそんとき、……あ”?」
長谷川叶「やったね! 宿題やってないしさー、早川にいたっては宿題あることすら忘れてたんだよっ。」
長谷川叶「ちょっと見てよー、もう時間ないんだよー、HRまでにやっちゃわなきゃ」
向田幸「まじ? うわっ。テンション上がってきた。めっちゃ頼られてるじゃん」
GM残像がでかねないほどに左右に揺れる彼が、ぽんとキミの肩に手をおく。なおまだ揺れている。
桐哉ここが人の多い学校じゃなかったら即ワーディングしてるとこだぞ 
向田幸「早川もダメじゃーん。学生の本分を忘れちゃダメだよ。なんだよその顔。あがめて良いよ」
向田幸「そんな顔してる早川ちゃんの宿題は見てあげません。」「長谷川ちゃーん、どこまで出来てんの?」
GMようやく揺れるのをやめた彼はいそいそとカバンを机に放り出して、キミの席にさっさと座る。隣に身を乗り出して、差し出されたノートにさっと目を通し――
GMちらりとキミをみて、にやりと笑った。
GM「おめーの彼女に頼られてる僕カッコイイィーーー早川ざまァwwwww」っていってるみたいなそんな顔。
桐哉「……向田お前、」「……」(舌打ち)
GMなんて日常だ。つい一昨日のことなんて、まるで嘘だったみたいな。あるいは別人みたいな。アレは夢だったんだろうか。それとも何かの冗談だったんだろうか。そう思えてしまうほどの、日常の風景。
向田幸「早川ちゃんの宿題は見てあげません! さされてアタフタすれば良いよ」
GMキミの舌打ちを、ことさらにそんな日常に落とし込んで。
GMけれどキミはもちろん知っている。今キミの目の前にいるのはUGNとは不倶戴天の敵であるFHの、それもセルリーダーで、つい一昨日にカタストロフなんて宣言してくれた、友人だ。あまりにも日常に溶け込んでいるけれど。
GMキミの席を占領し、彼女に感謝の黄色い声を上げさせているあたりも、キミの敵となる一因かも知れない。
GM――HRまであと15分。文法がごちゃごちゃなせいで宿題の効果はあまり見込めないものの、何となくこういう言い回し、こんなイメージ……そんな解説付きの帰国子女によるミニ講座は終わりを告げる。
GMありがとー、なんて両手を合わせた感謝の声に、調子に乗って反っくり返る向田。その視線がキミとぶつかって、
向田幸「何度も言うけど宿題は見てやんないよーー。つぅか、なにその顔。お話でもある?」
GMなんて。
桐哉「……別に。今更宿題くれーで慌てたりもしねえし?」
向田幸「ダメだよー早川ちゃん。慌てるとこだよそこは。学生の本分を果たせてないんだからさ。」
向田幸「ちなみに僕はやってませんが即興で答えられるんで問題ないです」
桐哉「(てめーが出して来てる問題の方がよっぽどだろうが)」「……知らねーわ、んなもん」眉間の皺深くしつつ
GMひらひらと手を広げて仰々しく述べる彼の後ろ、いそいそとノートをしまった長谷川は友人に呼ばれて席を立つ。やにわに彼が反っくり返ったのはパンツを見ようとしたからだろう、そんな光景もいつものものだ。ついでに後頭部に立ち上がりざまの膝キックをうけているのも、また。
向田幸「痛い。白」
向田幸「白」
向田幸「白だよ早川ちゃん」
向田幸「白なんだよ」
向田幸「いいよね。白」
向田幸「」
桐哉蹴ろ
向田幸「なんでけるの!!!!大事な情報でしょ!?!!?!?!??!」
向田幸「まぁ、――早川ちゃんは彼女のパンツより大事なことがあるってことか」
桐哉「次こそは頭踏み抜くかんな」
向田幸「次?」
向田幸「例の日のことかな」
GMそう、日常の中にぽとんと非日常を落とし込む。
向田幸「まぁ、わかってたよ僕は。早川がめっちゃ仏頂面してんのも。なんで来てんだってことだろ?」
向田幸「いや来るだろ。学生だぞ。登校は義務だ。」
向田幸「まあ、ああいう立場だとそうもいかないってのもあるけど――そういう意味では僕はわりと”ラッキー”だよね。トリトリは学校嫌いだったけど、僕はそうでもない。結構好きだよ、学校。リョウがトリトリの尻叩いて学校にやってたのもわかる。」
桐哉「……、何なんだよ、お前……」これは小声
向田幸「いっつも言ってたのさ。学校って勉強するだけじゃなくって、普通を知るってことなんだってさ。トリトリには確かにそれが必要だったよ、いっつもふたりで遊んでばっかりだし、生粋のこっち育ちだしね。リョウは学校行ったことないから、普通を知らないって負い目があったんだろね、反面教師にするべきだよ」
向田幸「何って、何が? 学校はいいもんだよ。確かにここは”普通”だ。普通を知らなきゃ、何が異常かもわからないだろ?」
向田幸「何が異常かもわからなけりゃ、何が特異なのかもわからない。例えばたった16年の一生で、母親が失踪してクソみたいな父親に捨てられて、半分しか血の繋がってない妹を引き取って高校生だてらに育てて。親族争いを友人の名探偵が解決したり、弱小合唱部を突然コンクールに持ち上げたり、そうそう起きるわけもない。」
向田幸「挙げ句の果てに”こっち側”に来て、振り回されて、決めつけられて、挙げ句の果てには”友達”に”倒される”。そんな人生が特異だなんて、普通を知らなきゃわかりもしないだろ。」
桐哉「……」何が、には答えず「……今、お前からそういう話を聞くとは思わなかったけどな、……」続いた話に顔を顰める
向田幸「そりゃあ、僕はいつだって僕だ。したいときにしたい話をするし、したいときにしたいことをする。だって僕だから。」
向田幸「彼女がそうだったかどうかの判定は結局、”特異”の積み重ねだよ。それはもちろん僕もそう。経験則による未来予測の繰り返し。予言の成就なんて言葉も、判定員は見ないふりだ。」
向田幸「だからね、早川。」
向田幸「僕は結構怒ってるんだよ。早川にも、”彼女”にも、早川の同僚にも、あのクズどもにも、リョウにも、あの件に関わった連中全てに。」
桐哉「……それでこんな行動に出た、ってか」
桐哉そういや長谷川ちゃんとかどうしてるんだ
GM長谷川ちゃんはちょっと友達に呼ばれて教室の前の方で雑談してるよ
桐哉平和だ
GMそう、平和だ。平和なのに、キミと彼の間にある空気だけは平和ではない。
向田幸「いっただろ」
向田幸「学生の本分は登校」
向田幸「僕は僕だから本分を果たすよ。それと同時に僕は怒っていて――だけど、早川、僕はもう、怒るのをやめたんだ。」
向田幸「だからこそ、早川。聞きたいんだよ。」
向田幸「どうして、彼女を殺したんだ?」
GMその表に浮かぶのは紛れもなく笑みだ。まるで昨日のテレビの話をしているときのような、屈託のない笑み。
桐哉「……」息を吐く
GMそんな笑みで、どうして宿題をしなかったのかと聞くような調子で、あまりにも日常そのものの空気と風景の中で、そんな日常にはなされない問いを彼は口にした。
GMまっすぐにキミを見あげて。キミが答えることをみじんも疑っていない顔で。
GMキミが吐いた息を吸う。それが言葉を吐き出す前準備か、息を飲み込む前準備か。
GMそれがなされる前に、HRを知らせるチャイムが鳴り響く。
GM教室のそこかしこで雑談に花を咲かせていた学生たちが三々五々、いや慌てたように席に向かう中。
GM彼はまるで面白い冗談を聞いたかのように笑いを含んだ息を吐いて、肩をすくめた。
何気ない調子で占領していたキミの椅子から腰を上げて、

GM戻ってきた長谷川の尻など撫でて返す手の平で横っ面をはたかれながら席へと戻る。
GM日常だ。
GM日常の中に、キミが答え損ねた問いだけがキミの胸の中に滞っている。
GMというところで締める一歩手前だけど何かするかな!
桐哉「……(他に手段があったら、)」そんな解答の切れ端だけ浮かべつつ向田の動きを目で追って
桐哉あとは……〆かな…!
GMじゃあ……締めだな……!