21.《亡き友のためのパヴァーヌ》
ScenePlayer:守宮紫陽花 / Place:結崎家
シーン:《亡き友のためのパヴァーヌ》 / SP:守宮紫陽花 / 場所:結崎家
GM:葬儀はどこかよそよそしい空気の中執り行われた。
GM:それも仕方ないのかもしれない。一家全員が死し、喪主はすでに離婚した夫。
GM:それでも詰めかけた級友、そして娘を亡くした哀悼に暮れる喪主の目には確かに涙が光っていた。
GM:二つの棺はゆっくりと、しめやかに自宅を後にする。キミは火葬場に向かうその車を見送ったあと、級友たちと共に彼女の家の居間に座っていた。
GM:窓の向こうでひぐらしが鳴いている。夏の夕暮れの日差しは庭に差し込み、もはや帰らぬ庭の主の面影を残さない。
GM:小ぢんまりとした、綺麗に整えられた庭。面影はなくとも、キミの目には草木の手入れをする林檎の姿が映るかのようだ。
GM:なぜ彼女が死ななければならなかったのか、キミには理解できない。否、したくない、のかもしれない。
GM:と。
GM:彼女の縁戚であると聞いた女性が、キミの前に座る。
女性:【水花のクソネミ】(( ˘ω˘ソ )ネ˘ω˘
女性:ごめんまちがえた
紫陽花:おい
女性:なんでこんなの残ってんや……
一式:わろた
桐哉:吹いた
鶴賀谷:わろてる
紫陽花:私ギャグにしない様に余計なこと黙ってたのに!!!
女性:「……あなた、守宮さんよね。」
女性:「あのね、これ。林檎ちゃんの机にあったの。」
紫陽花:「あ、は、はい、……?」
GM:そう言いながら差し出されたのは一葉の写真。
GM:いつか見せられた、あのホタルブクロによく似た花。
GM:その写真の裏を見れば、
GM:「命名:やもりん」
GM:そう、ペンで走り書きがされている。
女性:「やもりん、ってあなたのあだ名だって、聞いたから。」
女性:「あなたに持っていてもらいたいなって。」
紫陽花:「………はい。新種の、花だっていうから、名前をつけなきゃねって……」
紫陽花:「………」
女性:「……そう……。……ありがとうね。林檎ちゃんと仲良くしてくれて。」
紫陽花:「い、いえ、声をかけてくれたのは結崎さんの方で、……お世話になってたのは、私の……」
紫陽花:「……私なんかが……頂いてしまって、いいんでしょうか……」
女性:「……お友達、だったのよね。」
女性:「お友達なら、きっと。林檎ちゃんも、お世話してもらってた、って思ってたんだわ。」
女性:「お友達って、そういうものでしょう?」
女性:「なんか、なんて言わないで。あなたに持っていて欲しいの。」
紫陽花:「……そう、なの、かな……」
女性:「きっと、あの子もそうしてほしいって思うわ。」
紫陽花:「………………」
紫陽花:「……ありがとう、ございます」
女性:「どうか、……あの子の事。忘れないであげて。」
紫陽花:「はい……ずっと、ずっと覚えています」
女性:「きっとあなたは大人になって、素敵な女性になって…素敵な男性と恋に落ちて、幸せな家庭を築くわ。」
女性:「そうして幸せの中で、あの子の事……覚えていてくれて、そうしてあの子といたことを素敵な思い出って思ってもらえたら、」
女性:「きっとあの子も、幸せだから。」
女性:「どうか、お願いね。」
紫陽花:「………(こくり)」
GM:あなたの手に写真を握らせて、彼女はそっとあなたの肩に手を置いて立ち上がる。
GM:元気でね、そう言って彼女はまた葬儀の片づけへと向かう。
紫陽花:軽くお辞儀して見送り~
GM:手の中に残った一葉の写真の中で、花が光ったかのように思ったのは、キミの錯覚かもしれない。
GM:それとも、浮かんだか浮かばなかったかそれは定かではないけれど、もしかしたら、涙のせいだったかもしれない。
紫陽花:(覚えてるよ)(きっと覚えてる)(楽しかったことも、)(……助けられなかったことも)
紫陽花:(二人のこと、ずっと、覚えておくから)
GM:キミの胸中の吐露に答えるかのように、窓辺の風鈴が、ちりんと鳴った。
GM:というところで〆ますがいいですか!
紫陽花:はい!