11.《人間、逸脱》

ScenePlayer:守宮紫陽花 / Place:UGN・A市支部

GMまもなく夜が明ける頃合いだ。午前5時頃だろうか。
GM人気の失われたUGN支部、煌々と明かりがついているのは支部長室くらいのものだ。
GMキミが廊下にトンと降り立ったとき、あくびなんてしながら暢気に永井が支部長室の扉を開いて現れたのが、見えた。
紫陽花1d10+81 ぶんぶん
DoubleCross : (1D10+81) → 2[2]+81 → 83

GM部屋の中からは数人の話し声。……誰かいるのだろうか。それはさておき、彼はTシャツの下の腹をポリポリかきながらトイレへと向かっていく。
紫陽花(トイレ入るのを邪魔しちゃ悪いから、出てくるまで待とう)トイレ前待機するわ
GMぺたぺたとスリッパの音を響かせながら、彼は廊下を歩く。
紫陽花落ち着いて話せないだろ!!!一旦見送ってトイレ終わるまで待つわ!!!
GMそしてトイレへと入り……かこんかこんと便所サンダルの音にかわり……
GM……
GM……そして手を洗う音がして……(流す音もした)……
永井新伍「あー……」
永井新伍「朝飯なんにしようかなぁ……」
紫陽花「永井さん」
永井新伍「!?」
永井新伍「ちょっえっ」
紫陽花「おはよーございます」
永井新伍「ここ男子トイレです!」
紫陽花「入ってません!!ギリギリ入ってません!!」
GM性別、逸脱
永井新伍「つま先! つま先はいってる!」
紫陽花「まあでも男子トイレ入ったからと言って死ぬわけでは」
紫陽花これが……ジャームだ!!
永井新伍「今だけ男ルール禁止ですぅぅ!」
紫陽花「じゃあ永井さん出て来てくださいよぉ」
永井新伍「はぁい~ って、え、あれ?」
永井新伍「守宮さんどうしたの」
紫陽花「いやちょっと、永井さんに聞きたいこととか諸々あって」
永井新伍「デェームとかになったって聞いたんですけどォ!」
永井新伍「あ、はい」
紫陽花「ジャーム」
永井新伍「え……なに……」
永井新伍「ジャーム」
永井新伍「パンツの色なら答えないですけど」
紫陽花「いや別にそれ知らなくていいです」
永井新伍「!?」
永井新伍「一式さんなんてパンツの話めっちゃしてたのに」
紫陽花「???」
永井新伍「してたんですよ」
永井新伍「パンツかパンティかって」
紫陽花「ええー。一式さんのイメージ変わるわぁー」
永井新伍「……さすがにパンツの色何色? とは言えるけどパンティの色何色?とは聞けないよね?」
紫陽花「小さい「ィ」が何かやらしい感」
永井新伍「わかる」
紫陽花「ところで永井さん、この街出てく気ありません?」
永井新伍「ねっとり感が」「えっ」
永井新伍「な、なんで? 突然の退去命令? 家賃滞納したっけ?」
永井新伍「でも、鶴賀谷さんちに家あるし……」
紫陽花「うーん話せば長いんですけど」「簡単に言うと、私がこの街平和にしたはずなんだけど、永井さんが居ると永井さんの周りから平和じゃなくなるみたいなんですよ」
永井新伍「えっなにそれ」
紫陽花「なんか体質の問題?ほら、一般人のくせに私のこと覚えてるじゃないですか」「私の能力効かなくて、その関係で」
永井新伍「……」
永井新伍「いやだ。」
永井新伍「だって、鶴賀谷さんも早川くんも、一式さんも、兄ちゃんもみんな、守宮ちゃんを何とかしようって言ってるんだ」
永井新伍「キミがこの街を平和にしたって、みんながそう言ってる限り、平和なんかじゃないよ。」
紫陽花「今だけですよ、自然と忘れていきます。永井さんさえいなければ」
紫陽花「あ、もちろん、永井さんが嫌いで言ってるわけじゃないですよ?むしろ逆で」
永井新伍「……それでも、絶対にいやだ。」
永井新伍「そんなの、まるでキミが死ぬみたいじゃないか。でもキミは生きてるだろ。だからみんなあがいてるんだよ。」
永井新伍「僕は、そのみんながあがいてるのを無駄にするのが正しいとは思えないよ。」
紫陽花「死んじゃったようなもんと思ってくれていいんですけどねー」
永井新伍「そんなの」
紫陽花「そもそもそのつもりだったのが、気づいたらなんか、こうだから」
永井新伍「キミの押しつけだ。」
永井新伍「キミは言ったよね。僕がいると、平和にならないって」
永井新伍「街を平和にしたんだって。」
永井新伍「みんなが、君がいないと平和じゃないっていってるのも、キミにとっては押しつけかも知れないけど──」「……キミのその、死んだようなもんだと思ってくれていい、なんてのも、みんなに押しつけてるんだ。」
紫陽花「……うーん」
永井新伍「それでも押しつけるって言うんなら、押しつける覚悟をしなよ。それが出来ないなら、キミは本当は平和なんて望んでるんじゃないって、僕はそう思うよ。」
紫陽花「そこが何で、みんなわかってくれないんだろーなって」「私が居たって面倒ごとの種にしかなんないのになぁ」
紫陽花「押しつける覚悟、していいんですか」
永井新伍「いいよ。」「押しつけあった結果が、本当に平和だってキミが言えるなら。」
紫陽花「その場合私の結論は永井さんぶっころになる可能性高いですけど」
永井新伍「平和だとか、みんなのためだとか言いながら、キミが築いたものが」「僕の死の上に成り立ってるとするなら、」
永井新伍「鶴賀谷さんは、それをきっと受け入れてくれない。」
永井新伍「それでもいいって、キミが思うなら、これは戦争だよ。」
永井新伍「つまり勝った方が好きにすればいいってだけの話だよ。」
紫陽花「うーん」
紫陽花「うーん……」
紫陽花「そこまで話が大きくなるとなー」「この世界が平和と言い切れないなら……」
永井新伍「キミは平和にする為にいろいろやってきたんじゃないの?」
紫陽花「やってきましたけど」「何て言えばいいかな、より大事な人とそうでない人がいるから」
紫陽花「大事な人を片っ端から排除した平和は、ちょっと本意じゃないとこもあって」
紫陽花「平和じゃないなら『この世界』にこだわる必要もなくて」
永井新伍「……僕はキミにとって”大事な人”なの?」
紫陽花「それなりに」「加えて、鶴賀谷さん……鶴賀谷さんがダメなら、きっと一式さんや早川くんなんかも、認めてくれないと思うんで」
紫陽花「その辺まで排除すること考えたら、ちょっと」
永井新伍「キミは」
永井新伍「平和にしたいの?」
永井新伍「それとも」
永井新伍「みんなに、認めて欲しいの?」
紫陽花「みんなに、平和って感じて欲しいなって」
紫陽花「……みんな。もっと言うなら、できれば、私の好きな人達に」
紫陽花「幸せになって欲しいですよ」
永井新伍「……」
永井新伍「僕の身の上話を聞いてくれる?」
紫陽花「はい?」
紫陽花「まあどうぞ」
永井新伍「僕はね、物心ついたころには母さんがいなかったんだ。父さんはいわゆる結婚詐欺師みたいな仕事をしていてね。」
永井新伍「仕事って言っていいのかな、よくわからないけど。とにかくそうやって生きてた人でね。」
永井新伍「僕がまだ小学生の時に、父さんは再婚してさ。でも結婚詐欺師の結婚がハッピーエンドになることなんてないよね。」
永井新伍「いろいろあって、義母さんは父さんを包丁で何度も刺して、事故に見せかけて殺したんだ。父さんの死体を発見したのは僕でさ。結構警察に事情聞かれて大変だった。」
永井新伍「義母さんは警察に逮捕されて、僕は養護施設入り。そこで引き取ってくれた義理の両親も結局離婚して、」
永井新伍「僕が中学生になったころに僕は再婚した義母さんと何度目かの家族に入ったわけ。」
永井新伍「でも今度はその義理の両親が交通事故で死んで、」
永井新伍「僕はその義両親の息子の兄ちゃんに引き取られたわけ。」
永井新伍「兄ちゃんは優しかったよ。すげえいろいろ気を遣ってくれて、おどけてくれたり、本気で怒ってくれたり。多分、まともな兄弟ってあんな感じなんだろうなって思った。」
紫陽花「思ったより大変な人生送ってたんですね」
永井新伍「まあね。」
永井新伍「でも、兄ちゃんも、仕事に行って帰ってこなかった。」
永井新伍「死体も帰ってこなかった。ただ死んだんだって聞かされて、公式には行方不明。」
永井新伍「施設から援助はしてもらったけど、僕はその日からひとりぼっちで生きてきたよ。」
永井新伍「中卒じゃなかなか仕事も見つからないから、バイトしながら夜間学校に通ってさ、結局身体壊して1年くらい入院して、高卒資格を取るのに5年くらいかかった。」
永井新伍「でも結局残ったのは借金だけだし、僕の努力は無駄になったってわけ。」
永井新伍「借金を返すのに2年くらいちょっとマジで働いて、そんでなんとか返し終わったのが今。」
永井新伍「……さて」
永井新伍「僕は不幸でしょうか?」
紫陽花「……こんなに苦労した人間もいるんだから、おまえの考えなんて甘えだ、ってくるかと思いましたけど」
永井新伍「そこまで僕は、……言わないよ。」
紫陽花「はあ、まあ……質問の方に戻ると、だいぶ、こう、すごいので……正直いうと、不幸に聞こえます」
永井新伍「そう。」
永井新伍「でも、僕は幸せだ。」
永井新伍「僕の幸か不幸かなんて、キミに──もっと言えば、誰かになんて、決められるものじゃないよ。」
永井新伍「それでも、キミはみんなを幸せにしたい、なんて言うの?」
永井新伍「幸せになって欲しい、なんて言うの? それをキミの手でなせると思うの?」
紫陽花「……………」
永井新伍「それでも、キミがそうしたいって、覚悟があるなら」
永井新伍「キミの思う平和を、幸せを、貫いていいと、僕は思うよ」
紫陽花「……むー」
紫陽花「ううーん」
紫陽花「………」
永井新伍「……僕からの話はこれでオシマイ。」
永井新伍「まとめると、僕はキミの要求には応えられないよ。」
紫陽花「その辺はわかりました」
永井新伍「僕は出て行かないし、鶴賀谷さんや兄ちゃんのやろうとしてることは全力で手伝うつもりだよ。」
紫陽花「……まあ、幸せや不幸が人それぞれ、だとして」
紫陽花「それでもやっぱり、私の持つ力は、ない方がいいものだと思うから」
紫陽花「それを野に放つ選択は……やっぱり、ないですね」
紫陽花「だから、……この世界は維持します」
永井新伍「それが、みんなが望まなくても?」
紫陽花「そうですね」
紫陽花「正直なんていうか」
紫陽花「この力をもって生きるのに、疲れました。私が」
紫陽花「——今、そう気づいたらすっきりしたから」「ありがとうございます、永井さん」
永井新伍「……疲れて、じゃあ、どうするの」
紫陽花「そりゃあ」「永井さん殺しますけど?」
永井新伍「……そのあとだよ。」
紫陽花「この世界を閉じて、特異点の影響をなくして」「おしまい」
紫陽花閉じて=壊れる要因をなくして みたいな意味合いで
永井新伍「特異点っていうのは、僕はよくわからないけれど」「オシマイにするって言うのは、」
紫陽花「そのまんまの意味に受け取って貰えれば」
永井新伍「……そっか。」
紫陽花じゃあ、話すのに適切な距離に居たのが、ぴょんと飛んでちょっと下がろう
紫陽花エンゲージ一緒だと殺せないんだ
GM←廊下 紫陽花 | 永井 →便所
GM←廊下 紫陽花         | 永井 →便所
GMではそこでいったんシメで
紫陽花はーい
GM次回桐哉の話の最中にFS知覚判定に失敗したら死亡とかしたら怒られるかな
GMそれやったら桐哉が「おれが人生相談してたから……」って背負うことになるからスゴイ怒られそうだな
紫陽花わろた
GMGM怒られるのいやだからやめとこ……