16.《風なぎ》

ScenePlayer:早川桐哉 / Place:高台の墓

GM身元不明の少女として、”彼女”はUGNと協力関係にある霊園に葬られた。
身元不明の遺体の扱いに、さんざん支部長が霧谷氏にいいわけを強いられたようだけれど、今はそれは横に置こう。

GM※全員登場可能です
GM※紫陽花も死体で出てきてええんやで
GM×死体 ○幽霊
GM桐哉、そしてもしかして他の面々も、この墓地に来るのは何度目かもしれない。
GM少し雪が積もった日曜日の昼下がり。玉砂利の音も湿って、空が晴れていることだけが幸いか。
GM彼女が葬られて一週間。いろいろほとぼりの落ち着いた頃。
GM片手に花束と、線香とライターとろうそくを入れた籠をぶら下げて、キミ(あるいはキミたち)は小さな無縁仏を目指して歩く。
桐哉隣に人が居たとしても黙々と歩いてるかな
GM墓のとなりには、小さな植え込みがあった。今は枯れ木にしか見えないそれが紫陽花の花だと言うことは、植えるよう指示した本人しかしれないかも知れない。
GM振り向く。少し向こうにはキミの母、叔父の墓もある。いつかピアスを置きに来た彼女も、もういない。
GM静寂。
GMこの静けさは、何もかもが終わったということだろう。
GM空を振り仰ぐ。青い。その空を、雲が馬鹿みたいな顔をして流れていく。
GM平和だ。
GMあれからしばらく、何の事件も起きない。キミの、キミたちの胸中の感傷や感情なんて素知らぬふりで、この日常はひどく平和だ。
GM最後に微笑んでいた少女が何を見ていたのか、キミは知らない。
桐哉「…………(知った人間だけで、これだけいなくなった)」「(何も起きないなら。そりゃあ、それが一番だ)」
桐哉「(……願ったことは、正しかったんだよな)」周囲見てそんなこと考えながら歩いてて、紫陽花ちゃんのお墓のとこにつくかな
GMキミの学校だけでも、藤島に始まり、藤ヶ丘、結崎、そして守宮が、いなくなった。
GMキミが知っている限りでは、それよりももっと。
GMけれど、世界は平和だ。
どどんとふ「紫陽花」がログインしました。
GMなんか笑うタイミングだ
桐哉平和の礎がインした
紫陽花すまぬ
GMお墓の中にインした
桐哉お墓の中にちゃんとインしてるの重要だから…
GM世界は、ひどく平和だ。あれ以来、ジャームの話も聞かない。FHの動きもなりを潜めて、もともと何をしているのかわからないゼノスに至っては、この街の影にも沈黙を保っている。
GMもうすぐやってくるクリスマスに街は浮かれて、街のそこかしこで笑い声が弾けている。
GM何人も、いなくなった。
GMけれど、街は平和に今日もまわっている。
GMこれが彼女が最後に願ったことなら、それはそれで正しかったのかも知れないし、
GM彼女がいないという点については、正しくなかったのかも知れない。
GMただはっきりしていることは、彼女がこの世界を守っていたと言うことだけだ。
桐哉「(……すっかり平和になって、気にしてた妹もちゃんとやってる。お前にそれ、見えてたらいいんだけどな)」
桐哉「(……俺は、平和を取り戻すことしかできなくて、お前は、新しく平和を作ろうとしてて)」
桐哉「(少し一緒に考えられてたら、違ったのかもしんねーって、……)」
GM一緒に。そんな願いが叶うことはないと知らしめるように、墓は黙して語らない。
GM今ここにあること、あるものから考えるしかなくて、一緒に考えればわかることもひどく難解だ。
GMいつか誰かが言った言葉。
GM『答えてくれる──はいないしね。考える時間はたっぷりあるわ』
GM答え合わせも結局は自分一人。
GM彼ならこんな風に言うだろうか?
是堂御瀬『考えたってわかんねーんだから、自分が満足する答えが正解なんだぜ』
GM……そんなものが見つかるかも、今はわからないけれど、
GMキミは生きていて、時間がたっぷりあって、考える頭があって、
GM世界は平和だ。
桐哉「(——けど)」「(今更だ)」
桐哉「(意志ぶつけて、結果がこうなんだ。今更あの時こうだったらとか、そんなん引き摺られてても、困るだろ。だから)」
桐哉「(平和、守るからな)」
桐哉「(お前が、……が、大切にしようとしてたもん、持って行くことにする)」
GM風が凪いだ。静かだ。
GMキミの答えにまるで天使が通り過ぎたかのような沈黙だけがあって、
GMそして再び木々が風に揺れるざわめきが帰る。
GM決意の色だけがそこに残って、引きずる何かはあってこそ、振り返ることはきっとなかった。
GM平和な世界が、そこにあった。
GMというとこでしめかにゃ
桐哉はいー