0.そして戦いが始まる
ScenePlayer:なし / Place:某、飛行機事故現場
GM:空は馬鹿みたいな晴れ空だ。その晴れ空を過ぎる、幾筋もの煙。
GM:あたりは凄惨な現場だ。一機の飛行機が落ちた──であれば人々が集まっていても不思議ではない。
GM:けれど、閑散としている。
GM:残骸からは時折、うめき声が響いている。
GM:空気はゆらゆらと陽炎のように揺れている。
GM:がらりと残骸が一つ、崩れた。
《神出鬼没》:「──ちょっと、やめてよ《天罰》。何食ってんの。ろくなもんじゃないだろ。やめなよ」
GM:呆れたような少年の声。声の主たる彼は、何かを探すように残骸を一つ、そのスニーカーの裏で押しやる。
《天罰》:「…………。……」
GM:声を掛けられた女性は返事もせず、何かをもぐもぐと咀嚼している。
《天罰》:「……うー。」
《神出鬼没》:「味の感想は、絶対、要らない」
GM:そんな暢気な会話は、この場にはあまりにも似つかわしくない。
GM:また一つ、うめき声が上がった。そして、消える。
GM:二人はそれに構うこともしない。
GM:彼らは知っているのだ。もう、並の人間であればこんな事故から生還出来ることはあり得ないと。
GM:それでも彼らがこの事故現場をうろつく理由は。
GM:煙が歪む。まるでドームを形作るかのように。
《天罰》:「……あむ」
《神出鬼没》:「食ってないで手伝ってってば。……いねえなあ、犯人」
GM:あたりに張り巡らされた《ワーディング》。
《神出鬼没》:「死んだかな。いや……そうそう死なないよなあ」
GM:並の【人間以外】を、彼らは探している。
GM:と。
GM:がらりと、また残骸が揺れた。
GM:二人の動きは止まり、その方向へと視線が飛ぶ。
GM:──崩れた残骸の下から、赤ん坊の声が響く。
GM:それは一重奏。そして二重奏に変わる。
GM:ぐしゃりと何かを踏みしめる足音。
煤けた少年:「──……」
GM:──そして、赤ん坊を両手に抱えた少年が一人。
《神出鬼没》:「……あいつかね?」
GM:年の頃の近い二人の視線がぶつかるけれど、煤けた少年は口を開かない。
《神出鬼没》:「──名前言えるかい? オーヴァードくんよ」
GM:尋ねる声にも、少年はかぶりを振る。
《天罰》:「……」
《天罰》:「……ん。こっち。にも、いる」
《神出鬼没》:「言葉わかんねえのかな。えーっと……え、なに?」
《天罰》:「なまにく。の、あじ。」
《神出鬼没》:「生きた肉って意味でいいの?」
《天罰》:「ん。」
《神出鬼没》:「……泣いてるのもあわせれば4人かあ。面倒だね」
《神出鬼没》:「ダイヤモンドちゃんは一体誰なんだかね?」
《天罰》:「……にく。」
《神出鬼没》:「うん、そういう意味じゃないからね?」
GM:沈黙の少年は、腕の中の赤ん坊を見下ろす。
GM:泣き叫ぶ二人の赤ん坊と、少年と、女性と、
GM:一体誰が犯人だったのか、
GM:──犯人すらも知らない、幕開けだった。