23.新しい空に小石が落ちる
ScenePlayer:早川桐哉 / Place:教室
GM:……そして迎えた新学期。
GM:あれからキミは遊園地でどうしただろうか。あの騒動とワーディングと記憶操作のソラリス手配でバタバタで、人混みの中で長谷川を見失ってしまった。
GM:何となく避けられた感じのする終業式。
たまに「元気?」なんて届くLINE。Dで始まる会話もなく、何となく気まずい春休みはあっという間に終わってしまった。
GM:幸いと言うべきか、キミは無事に3年に進級した。
GM:幸い
桐哉:幸い
GM:幸いにして
桐哉:補習組かな???
一式:下がらなかったの
GM:下がるという新しい概念
山田:ナイトウィザードじゃねえんだから
桐哉:もう一度一年生から???
鶴賀谷:転生システムかな
GM:そのクラス分けの発表に、キミはどういう感情を抱いただろうか。教室に入り黒板に張り出された席に座れば、程なくして長谷川が教室の扉を開く。
GM:そうしてさっきのキミと同じように黒板に張り出された席を確認し、
GM:……五十音順に男女混合、ジグザグに並べられるその席は、キミの隣だ。
長谷川叶:「あ、……えっと。おはよっ」
桐哉:なんとなく目で追っかけてたりして「……ぉ。おう」
長谷川叶:「あはは、よかったー。同じクラスだ」
長谷川叶:「……、……春休み、元気してたの?」
GM:鞄を枕に、キミを覗き込むみたいに彼女はキミを見る。
桐哉:「しかも隣っつーな」「……ふつー、……補習えげつねーの。……そっちは?」
長谷川叶:「えへへ、苗字の妙ってやつだ。」「……、……ちょっと。嬉しいけど。」
長谷川叶:「……早川、いくつ補習あったんだよー。」
桐哉:「……まあ」<嬉しいけど、へ僅かに頷きつつ 「数えてねえ」
長谷川叶:「ふっ、あはははは、もしかして全部だったりすんの? ちゃんと授業聞きなよー。卒業出来なかったらおいてくよ?」
長谷川叶:「あたしは春休みめっちゃ充実してたんだから。弟の宿題手伝って、弟と田舎のじいちゃんち行って畑作りの準備したり、……。……」
長谷川叶:「……充実は、してたけど」
桐哉:「全部ってこたーねーけど」「……」
長谷川叶:「……。……早川とちゃんと、でー……で……と……、したかったな、ってのは後悔かもなっ」
桐哉:「……長谷川、さあ」「あん時、ぁー…ごめんな。こっちのことで振り回しちまった」
長谷川叶:「……。」
長谷川叶:「……なんか……バイトでもしてんの」
桐哉:「……、……ああ」
長谷川叶:「……そゆのはさ、」「先に言ってくれてもって思うよ」
長谷川叶:「……。」「別に……言いたくないなら、いいけどさ。けど、か……彼女って思ってくれるんならさ」
長谷川叶:「バイトあるからって、それっくらい言ってくれればいいじゃん、って思うの、あたしのわがままだけど。でも、やっぱり」「言って欲しいなって。」
桐哉:「……悪ぃ」
桐哉:「……また、ああいうことになったら、今度はそーする」
長谷川叶:「……。」
長谷川叶:「……ウン。そうして」
桐哉:「……そんで、次は」「……ぁー、長谷川が良かったらだけど」「次は、ちゃんと二人で行けるようにすっから」
長谷川叶:「──……約束だかんね。」
長谷川叶:「……まあ、まずは休み明けの試験をクリアしてからだなっ」
桐哉:「……おう」「……結局ラーメンも食いにいけてねーし」
桐哉:「ぁー……あったなそーいうの」
GM:ぽつぽつとした言葉の、湿ったしたたりのようなやりとりを吹っ切るように彼女は声を上げて、にぱりと笑う。
長谷川叶:「そうそうっ。まずはラーメン食べに行こう! 試験前のエネルギー補給とかでさっ。今日の帰り行っちゃう?」
桐哉:「ん、だな、そーすっか」「……今食っても試験までにエネルギー使いきらねえ?」
長谷川叶:「試験勉強するにもエネルギーいるっしょ? その足で図書館でも行こうか」
GM:にひひ、と歯を見せて彼女は笑う。
GM:その笑みにはキミとこうして過ごす時間を大事にしているという色が浮かんでいて、
GM:……チャイムが鳴った。
GM:周りの生徒がガタガタと席に着き、教室の扉を開けて新しい担任教師が入ってくる。
桐哉:「行っても使い方わかんねー、」なんて言いかけてたところでチャイムで一旦切り上げて担任の方に目ぇやっとこう
GM:担任の退屈な挨拶。曰く3年になって受験の年になって……進路指導が……
桐哉:聞き流しとこ
GM:そんな話のあと、彼はキミの少し後ろの誰かに手招きをした。
担任:「あー、それから」
担任:「今学期からの転校生がいるんで紹介しよう。あとでみんなも一人ずつ紹介してもらうが、彼は転校だしな」
GM:そうして、手招きに応じてすらりと背の高い少年が教壇へと向かう。
GM:かつかつと黒板に書かれた名前にふりがなが振られる。
GM:向田幸/むこうだ こう。そんな名前の隣に立って、彼は薄い笑みと共に会釈をひとつ。
向田幸:「向田幸です。この春にアメリカから日本に戻りました。」
桐哉:「(ほーん……)」だらっと見てよう
向田幸:「まだ慣れないことも多いんで、色々お世話になると思います。よろしくお願いします」
長谷川叶:「へー、帰国子女ってやつ?」
GM:キミに彼女はこそりとささやく。
GM:また一度会釈した彼と、キミの視線がぶつかる。
向田幸:「……」
GM:彼が笑った理由を、キミが知るのはずっと後のことだ。
桐哉:「(……アメリカ、なぁ。海外多いな最近)」「……かね。戻ったつってるし」後半こそっと返しつつ
GM:挨拶を終え、キミの隣を通って自席に戻る彼。
GM:通りすがるとき、また目が合った。
向田幸:「……よろしく。」
GM:その言葉の真意を知るのも、ずっと後の話。
GM:なんか返すなら返して、ないならないでというところでシメルヨ
桐哉:「……ああ」ってだけ返して〆で!