1.《バッド・シネマ・パラダイス》

ScenePlayer:なし / Place:???

シーン:《バッド・シネマ・パラダイス》 / SP:なし / 場所:???

GMそれはいくつかの断片的な。まるでラッシュのような。
「えっ……えーー……」
「何よその反応」
「いや……うん、めでたいけど。え? それ、旦那は知ってんの」
「まだ言ってない」
「おれに先に言うなよ! どういう理由だよ!!」
「はあ? 何自意識過剰やってんの。バカみたいなこと言わないでよ」
「俺が言ってんのは常識だよ!」
「常識も何も…ああー。ああ……そういうこと?」
「どういう事かわかんねえけど。てか、おれやだよ。旦那より先にそういうこと知ってたとか」
「だって……言ったらさあ」
「うん?」
「絶対連れてかない! って言うに決まってるじゃない」
「言うだろうな。てかおれも言いたいよ。一人の身体じゃねーじゃん」
「そりゃそうだけど。」
「大人しく待ってれば?」
「やだ。……。……だって、ゆーくんは知ってるでしょ。ゆーくんだって当事者なんだから」
「……おれに任せるとかは?」
「絶対やだ」
「即答かよ!」
「即答だよ! ……そりゃ、私だって、危ないことは自覚してるよ。安定期、だけど……安定期が安定してるなんて嘘だし」
「わかってんなら引っ込んでろよ」
「やだってんでしょ。蹴るよ」
「蹴ってから言うな」
「だからさ、ゆーくん」
「なんだよ」
「……私と、キヨさんのこと、守ってくれないかな」
「……」
「それと、キヨさんには内緒にしといてよ」
「……おれさ、常々思ってたんだけど。」
「なに?」
「レイちゃんにとっておれって完全にパシリ以上のなにものでもないよね???」
「え? ……。」「……」「お、弟分! 弟分!!」
「いや、弟分って言う名のパシリだよね??」
「可愛い弟分!! 弟分!!」
「パシリだよね??」
「だめだよゆーくん! 卑屈になっちゃだめだよ!! 弟君がしょげるよ!」
「いや、その態度をやめろよ!?」
GM……くるりとシーンは翻る。
「……へぇ、由良島。ユイカミ、なあ」
「ええ。黄泉帰り信仰があるんですって。」
「私もよくは知らないのだけど……なんでも、島に入るのも大変なんだとか。」
「それってさあ、島の人たちの信仰がどうたらとかじゃねーの?」
「ええ、そうらしいわ。……いわゆるアンコールワット、いいえ、アークのようなもの。その中心にあるものが”ユイカミ”と目されるの」
「……。」
「ね? それをね、私は見てみたいの。どうかしら、次のターゲットはそれにしない?」
「……調べてからだなあ。」
「その島の人たちが今も信じてるんだったら、そら、あそこに教会があるだろう?」
「……ええ」
「あそこからマリア像を盗むようなもんだぜ。死んだ遺跡には興味があるが、生きた寺から仏像とってくる気にはならねえよ」
「……。」
「わざわざ日本から俺を訪ねてきてくれたとこ悪いけど、即答は出来ないよ。」
「……調べては、くれるの?」
「……そうだなあ。まずは調べるだけ調べてみるよ。コーヒー代の分だ」
「……ありがとう。あなたみたいな冒険家の手をかりたかったの。」
「かいかぶってくれてさんきゅうな。ま、全力は尽すよ。……ユイカミねえ。ジョージにでも話を持っていくか」
「ジョージ?」
「日本オタク。こういう信仰毎にやたら詳しいからな。アンタはいつまでこっちに?」
「もう、帰らなくちゃ。大学での講義があるの」
「そうか。じゃあ、日本で会うかね。」
「ええ……連絡先は?」
「さっきのとこでいいだろ。じゃあ、そうだな、一月後に。」
「ありがとう、待ってるわ、ミゼ」
GMそしてぱたりと倒れるフォトフレーム。
どどんとふ「一式」がログインしました。
GM一式ィ!
一式しゃあないやろ!!!!!
「………………」
「………………」
「………………」
「………………注意して、渡れ」
「………………みんなで渡れば怖くない」
「お前ら大阪人か」
「だって、車が……いるか、わからない。」
「車が突っ込んできても、誰かが盾になってくれる」
「どこの世紀末に生きてるんだよ、ゴスペル。イノセントは無駄に設定に凝らない」
「世紀末はまずモヒカンにしなければならない」
「そこじゃねえよ。いいか! これで3度目だぞ!! これは赤信号!! 渡っちゃダメなの!」
「……あのね。ドッペル、ゲンガー……わたし、どうしても。わからないの」
「……なにが。」
「青。じゃないわ。あれは、緑よ。」
「ホントどうでもいいよ。イノセントの中で緑信号にしとけばいいよ。ていうか今は赤信号の話してるんだよ」
「おれは赤信号で謎がある」
「今謎解きの話してるんじゃないけど?」
「赤信号の彼はなぜ直立不動なんだ?」
「お前しゃがんでれば気が済むのかよ! しゃがんでるって幻視しとけよ!!」
「ドッペルゲンガーの能力で……」
「本当の青に……」
「お前らの欲望の方向おかしいから!!!!!」
「……」
「なーかしたー」
「おれが泣きたいよ!!」
GM扉がぱたり、閉まる。
少年「……。……」
GM彼は何も言わず、ただ佇んでいる。
GM光の中で。