21.《女の告白》
ScenePlayer:早川桐哉 / Place:墓地
GM:キミは叔父の手帳を片手に、高台にある是堂家の墓を目指す。
GM:ひぐらしが鳴いている。
GM:夏の終わり、夕暮れの空気はどこか湿ってキミの肌にまとわりつく。
GM:昼の青空が嘘のように、否青空があったからこそ、この夕暮れの空は赤い。
桐哉:例のユイカミ破片も携えて黙々と目指してます。
GM:振り返る。街並みが日差しに染まり、遠くの海がキラキラと輝いている。
GM:玉砂利がかすかな音を立てる。墓場に人気はなく、キミは口を開くことなく、その御影石の前にたどり着いた。
GM:出立前に供えた花はもはや枯れ、ろうそくも献花台にこびりついている。
GM:けれどキミは気づくだろうか。
GM:献花台の上、黄昏の薄暗がりに沈みそうな小さな小さなピアスが一つ、乗っていることに。
GM:キミはそのピアスに見覚えがある。
GM:赤子特有のメッチャがにまたでおむつを晒しているキミを抱きかかえた女性の耳に、そのピアスが光っていたことを。
桐哉:枯れ花と蝋燭を軽く掃除して…というところで気付いて首傾げますが
桐哉:言い方ァ!
GM:そんながにまたおむつを一式に見られたんだな桐哉……
GM:そのピアスはまだキラキラと輝いている。
桐哉:アルバム見せたタイミングからして紫陽花ちゃんにも見られた可能性あるわ…
GM:置かれておそらく一日も経っていないだろう。
GM:写真の女性の傍らにはピースをキメる御瀬の姿もあった。
GM:ことを思い出す。
桐哉:「……」思わず拾おうとして手を触れる直前で躊躇うかな
GM:触れかけたピアスの石は沈黙してそこに佇む。キミの携えたユイカミの欠片のように。
桐哉:「(……来た、のか? ここに)」少し考えてから、ユイカミの破片を並べるようにして置きます
GM:墓石もまた、黙ったまま佇んでいる。
GM:当然だ。
GM:死者と生者の間には絶対的な隔たりがあり、言葉を交わすことなど叶わない。
GM:※一式は除く
GM:だから、キミが彼の求めていたものの欠片を届けたとしても、彼はいつかのようにキミの頭をくしゃくしゃとなでたりしないし、すげえなと子供のような笑顔で称賛したりもしない。
GM:ここに置き去りにされたピアスのように、キミはあの日に置き去りにされている。
桐哉:「……ユイカミ、見つけてきたけど。結果があんなんだったとして、そっちはどう思ったんだろうな」
桐哉:「まあ、冒険仲間? ともああいう風にやってたんだろうなってのは……、……」
桐哉:「(……俺が同一視してたら、ヤモリに顔向けらんねーな)」
桐哉:「……」しばらく黙祷
是堂御瀬:『お前を導くのがおれの仕事だし。』
GM:そう言って、てらいのない、けれどどこか得意げな笑みが思い出された。
GM:きっと彼も、……やめよう。
GM:キミはそっと立ち上がる。
GM:シークレットダイス
GM:さくり、さくりとキミは歩き出す。
GM:蝉の声が、じわじわと墓石にしみこむように響いている。
神出鬼没《ドッペルゲンガー》:「……よかったん? 天罰《イノセンス》」
天罰《イノセンス》:「う、ん……。びっくり。した。」
神出鬼没《ドッペルゲンガー》:「いや僕は唐突に飛び上がって墓石をどけようとしたアンタの行動にびっくりしたけど……」
天罰《イノセンス》:「……。」
天罰《イノセンス》:「物陰。小さかったん、だもん。」
神出鬼没《ドッペルゲンガー》:「そりゃね……」
天罰《イノセンス》:「ドッペルゲンガー、は。帰ってこない。し。」
神出鬼没《ドッペルゲンガー》:「人が死んだみたいな言い方やめてくれる?」
天罰《イノセンス》:「……お墓の、場所。わからない、し。」
神出鬼没《ドッペルゲンガー》:「だから人が死んだみたいな言い方やめてくれる?」
天罰《イノセンス》:「覚えて、ない。けど。」
神出鬼没《ドッペルゲンガー》:「人の話聞いてる?」
天罰《イノセンス》:「でも。」
天罰《イノセンス》:「覚えてる、気が。するの。」
天罰《イノセンス》:「覚えてる、はずが。ない。のに、ね。」
神出鬼没《ドッペルゲンガー》:「……。…… そりゃァ、ね。」
天罰《イノセンス》:「あの子の、ことも。」
天罰《イノセンス》:「子供、だなって。思うの。」
神出鬼没《ドッペルゲンガー》:「…………。」
神出鬼没《ドッペルゲンガー》:「……アンタは、キリエじゃないよ。」
神出鬼没《ドッペルゲンガー》:「天罰《イノセンス》。……皮肉だけどね。」
天罰《イノセンス》:「知って、るわ。」
天罰《イノセンス》:「でも。」
天罰《イノセンス》:「この身体、は。」
天罰《イノセンス》:「きっと、覚えてる。の。」
神出鬼没《ドッペルゲンガー》:「……。」
GM:そんな二人の言葉を、キミは聞くことはなく。
天罰《イノセンス》:「……。」
天罰《イノセンス》:「おなか、すいた」
天罰《イノセンス》:「お夕飯、なに?」
神出鬼没《ドッペルゲンガー》:「さぁね。神の御言葉《ゴスペル》がなんか用意してんだろ」
天罰《イノセンス》:「……やだ。」
天罰《イノセンス》:「ゴスペル、の。ごはん。固い。」
神出鬼没《ドッペルゲンガー》:「文句があんなら自分で炊きなよ……」
GM:そんな彼らに日常があることも、知らず。
桐哉:蝉の声の中を歩きながら、次はカネゴンの何かでも持って来るかななんて考えつつ。
GM:こだわりだったもんね……
桐哉:ほぼ唯一の本人情報だからね……
GM:キミは静かにその場を後にし、中古ショップへと向かった……
GM:というところで〆ますが!
桐哉:はい!
GM:ちなみにシークレットダイスは3でした
GM:※桐哉の知覚判定です
桐哉:御瀬さんのこと考えてたんだ