25.電話のベルは二回鳴る
ScenePlayer:鶴賀谷氷影 / Place:自宅前
鶴賀谷:はーい
GM:……あれから2日、調査を終えて、さてそろそろ一式を探しに行こう、なんてUGNのブリフィーングでも話題になったあとだ。
GM:キミは珍しく夕方の帰り道を歩いている。
GM:隣にはあすなの好物を買い込んだゴミ袋をぶら下げた永井。
GM:ちがう
GM:ビニール袋
GM:なんで間違えた
鶴賀谷:買い込んだゴミとは
GM:あすなの好物=ゴミ袋
GM:さておき
鶴賀谷:あすなそんな趣味が
鶴賀谷:はい
GM:キミたちは今日も家路を帰っている。
永井:「──そういえば、またあったらしいですよ。柊木さんって方からの電話」
GM:ビニール袋の中のおっとっとと卵の位置を直しながら、永井は言う。
鶴賀谷:「ええ?また僕がいないときに?」
永井:「お昼にでてるときだったとか。その後鶴賀谷さん一式さんの調査にでかけてたでしょう」
鶴賀谷:「あのときかあ。ううん、でも知らない人に携帯番号渡すのもなあ」
永井:「ですよねえ……これで何回めだか」
GM:そんな話をしながらの、帰り道。
GM:そろそろあすなも帰っているだろうか。鍵っ子にしてしまっている罪悪感を、時々覚えないこともない。
鶴賀谷:うん……
GM:隣の彼がまだUGNなどと関わりは……あったのだが……なかった頃は、たまに早く家に居ついていたりして、彼女を迎えてくれたりしていたのだろうけれど。
GM:男親一人にできることなど、せいぜい、事前に察知した学校への危機から彼女を守ることくらいだ。
GM:そんなことを思いながら家のすぐ前の角を曲がれば、
鶴賀谷:学校行かせなくてよかった…早く帰ろう
GM:──そこに二人の人影。
鶴賀谷:ほうどなたでしょう
GM:見知らぬ、六十がらみの老夫婦らしき二人が、玄関の前に佇んでいる。
鶴賀谷:知らない人っぽい…?
GM:全然知らないです
GM:その二人はあなた方に気づいたように、こつと足音を立ててキミたちに向き直る。
老人:「失礼。鶴賀谷さんでしょうか。」
鶴賀谷:おおう 「ああ、そうです。ええと、うちに何か用事でも?」
老人:「はい。申し遅れました。はじめまして。私は柊木と申します。あなたと籍を入れた、レイの父です。」
老人:あなたと籍を入れたレイの、父です こうか!
老人:TAKE2!!
老人:読点の位置で大きく意味が左右されます
鶴賀谷:「えっレイちゃんの……もしかして支部のほうへ電話くださっていた方ですか?」
柊木輝光:「はい。何度かアポイントのお願いで電話をしていたのですがね……」
柊木輝光:「……残念ながら、なかなかお出になられなかったので。ぶしつけは承知の上で、お伺いしました」
柊木輝光:「さて、……ただ娘の夫に会いに来ただけではありませんので」
鶴賀谷:「どうも毎回タイミングが悪くて……申し訳ない。むしろお会いできてよかった」
鶴賀谷:「(だよね)」
柊木輝光:「こちらも仕事の合間を縫っての電話でしたからね。鶴賀谷さんが謝罪する所ではありませんよ。」
柊木輝光:「ここでお話しするのもどうかとは思いますが──単刀直入にお伝えしましょう」
柊木輝光:「朝菜……レイの娘の親権を、渡して頂きたい。」
永井:「えっ」
鶴賀谷:「えっ」
永井:「鶴賀谷さん……死んじゃいますよそれ……」
柊木輝光:「驚かれるのも無理はありません。ここでお話しするのもと申しましたとおり……雑談として話すことでもありませんからな」
柊木輝光:「レイが家出し、あなたと結婚死……」
柊木輝光:「結婚し」
柊木輝光:「……そして事故死したことは、今改めて問うことはしません。あの子は自らの意志でそうしたのですからね」
鶴賀谷:「……はい」
柊木輝光:「ですが、今、その娘の忘れ形見が……」
柊木輝光:「……父子のみで暮らしているだけならともかく、どこの誰かも知らぬ者も同居し、そして鍵っ子で、かつ、事件に巻き込まれたとあっては」
永井:「あっ僕」
柊木輝光:「祖父母として、見て見ぬふりをしているわけには行きません」
柊木輝光:「はっきり言わせて頂きます。鶴賀谷さん。あなたに、まだ年端もいかぬ子を育てる環境にありません。」
柊木輝光:「あなたは」
柊木輝光:(TAKE2)
鶴賀谷:「しかし……」「僕はできる限り朝菜を育てていたつもりです。朝菜も自分を父親だと認めてくれています」
鶴賀谷:「環境は言われてるとおり不十分であるのですけど……。けれど、この環境から朝菜を急に離すことには賛成できません。せめて、貴方夫婦と朝菜に面識がついてからではいけませんか?」 ぐうの音ぐらいは出す
柊木輝光:「努力を否定はしません。ですが」「彼女が事件に巻き込まれた時と、何ら生活環境は変わっていない」
柊木輝光:「理想論や精神論、感情だけで子供を健やかに育てることはできない。それを我々は知っています。」
柊木輝光:「二度と会うなとは言いませんよ。その為に我々はこの街に越してきたのですから。」
柊木輝光:別に同居しろという話ではない
柊木輝光:「月に1度、2度会うことは止めません。親の顔を忘れてしまっては子も不憫。」
柊木輝光:「ですが、あなたの手元に置いていては、いつ何時また事件に巻き込まれるか知れない。」
柊木輝光:「あなたはその危険がないと、言い切れるのですか?」
鶴賀谷:「……」 言い切れないなーー
GM:──夕暮れの光の中、キミたちは対峙し、そして沈黙が訪れる。
GM:キミが口を閉ざしたその隙間に滑り込むように、彼は告げる。
GM:手続きの準備を済ませて、また来ます、と。
GM:去りゆく彼らの影が、キミの足元まで長く長く伸びている。
GM:家の中から、暖かな匂いはしなかった。
GM:という所でしめます!
鶴賀谷:「考えておきます」とだけ伝えますかね…
GM:はい!
鶴賀谷:はーい!後は大丈夫です
GM:突然の家裁案件
鶴賀谷:やふー知恵袋に書き込みしなきゃ