30.呟き、諦め、なお抗う

ScenePlayer:なし / Place:過去

《医学博士》「――何の因果かね」
《神出鬼没》「なにが?」
《医学博士》「今さら、あいつのとこに、なんだかんだで集まっちまったってことだよ」
《医学博士》「別に――来るつもりは、なかったんだ。」
《医学博士》「一度はあいつを放り出して、おれらは別のセルに向かった。お前なんか、最初っから別のセルで……」
《医学博士》「……離れていくのは、当然。付き合いだって、それで終わるはずだった」
《医学博士》「なんでだろうな」
《神出鬼没》「――簡単な話だろ」
《神出鬼没》「あいつが、僕らを必要としなくなった。……違うな、」
《神出鬼没》「僕ら以上に、必要なものができた。」
《神出鬼没》「そんだけだろ」
《医学博士》「望みが叶わないくせに?」
《神出鬼没》「だから、一度はあいつの周りから離れた。」
《神出鬼没》「あの時は、まだ僕らがいることをあいつが望んでいたから。でも、今は違う。」
《神出鬼没》「あいつの望みをかなえるために僕らは集まって、」「……」
《医学博士》「……でも、叶わない。」
《医学博士》「――……遺書でも書いといた方がいいかね?」
《神出鬼没》「諦めんの?」
《医学博士》「冗談。」
《医学博士》「あいつのことは、嫌いじゃねえよ。むしろ好きなほうさ。」
《医学博士》「望みが叶うんなら、協力してやってもいい。」
《神出鬼没》「――……それなら、それでいいだろ。」
《神出鬼没》「天運も、神様とやらも、くそったれだ。」
《神出鬼没》「せいぜい人間様が反逆ぶちかましてやるよって、そんだけだろ」
《医学博士》「まあな。」「……ま、」
《医学博士》「叶わねえと知りながら、かなえようと足掻く大馬鹿は、嫌いじゃない。」
《医学博士》「おれだって、似たようなもんだしな。」
GM呆れたような忍び笑いが二つ響いて、その話は終わる。