34.雨降って地固まる
ScenePlayer:一式悠 / Place:自宅
GM:キミの憧れのE市に、キミの夫と子供は誘拐されていた。
迎えに行けば、何がなにやらといった顔の夫と息子――もっとも息子の方はスマホのゲームに夢中になっていたが――なんでもこの辺はボロボロと限定バケモノが出現するんだとか何とか――は、五体満足も満足、心なしか少しばかり太った気すらする。
GM:夫の証言によれば、家族三人揃って誘拐――というか、車に乗っていたところをそのまま乗り込んできた青年にカージャックされたのだとか――されて、今ここにいたる。妻がさっきまでの妻ではないことには、気づいていないようだった。
一式:憧れるわーーーーーーーー
GM:そして今、家である。
一式:ごっぺるがかくまってくれてたんだっけ
GM:ウン
GM:だから、
孝人:「やっぱりはるちゃんは強いねえ。脱出経路探しに行ってたんでしょ?」
GM:こうなるわけである。
一式:モルフェウスで菓子折りぐらい渡してドッペル死んだことはいっとこ……
GM:買えよ
一式:なにいってんだよ
一式:直行で駆け付けるんだから
一式:よる暇ねえだろ
GM:コンビニでもコロンバンくらい売ってるだろ!
一式:それでいいの
一式:浸食値という対価は払うから
GM:わろうた
一式:「(いっくんが丸くなってる)」
一式:「脱出経路」
GM:めっちゃ食ってた
一式:「あ、あー、うん、まあ、ほら私強いからね」
一式:めっちゃ食ってたか……
孝人:「え、そうでしょ?」「だよね。――あー、こういうときにかっこつけられたらいいんだけど」
孝人:「いつきを怖がらせないって大役は果たせたかなー(息子の腹を撫でる)」
一式:「あぁ、そんなとこね。まあこの誘拐も知り合いが事件に巻き込まれないようにダメな気の使い方をしたみたいな……なんかそんなのだったみたいだし」
一式:「大役果たしてくれた孝人さんもカッコいし、私もカッコいいだけよ」
孝人:「そうなの?」「……なんか丸くなったなあ、はるちゃん。(体型の話ではない)」
一式:「大人しくしてたいっくんもカッコいいけど、ぷにぷにしてるのはマイナスねえ……」
孝人:「うっ」「(視線をそらす)」「(おやつで気を紛らわせさせたなんて言えない)」
一式:「(ぷにぷに)体型の話かと思ったんだけど!!!」「でもいつもこんなもんでしょう、私。」
一式:「(誘拐中だからしょうがないね)」
孝人:「た、体型じゃないよ!!!」「いや、あのときスゴい口喧嘩してたから……僕が口挟む間もなかったというか」
一式:[]
一式:まちがえた><
孝人:「絶句された」
一式:「してない」
孝人:「はい」
一式:「あのとき……?……あぁ、突然部屋に乗り込んでた女の人?」
孝人:「いや、誘拐の時」
一式:「どんな感じだった?」
孝人:「少なくとも知り合いって感じじゃなかったし……気を使ってる~とか、そういう感じじゃなかったなって」
一式:「ふうん。まあ、その時は目的聞いてなかったから、孝人さんといっくんが巻き込まれるーとか思ったのかも」
孝人:「……?」「なんだか、人ごとみたいだね。思ったのかもって。」
孝人:「でも、まあ、いっか。はるちゃんがいて、いつきがいて、三人で無事だったんだしね」
GM:夫はまるで子供のような表情でにかりと笑う。そしてキミは確信するのだ。
一式:「必死の時の気持ちなんてわかんないもの。まあ、その私もなんだかんだ頑張ったんじゃないかしら」
GM:コイツこういう性格だからあっさり偽一式が真一式だって信じるんだろうなァーーーーーーーーーーー!!!!!!!
一式:wwwwwwwww
一式:でもあれでしょ
一式:息子に引き継がれてるんでしょ
GM:細かいことを気にしなさすぎやで
GM:はい
一式:だって息子もあっさり信じてるんだし
GM:間違いなく親子やで
一式:「…………そういうとこが好きだし、そうじゃないと私と結婚してないとは思うんだけど、うん……いいわ……」
GM:今初めて一式さんがかわいそうって思った
一式:「3人で無事が一番大事だもんね」
一式:どういうことだよ!!!!
孝人:「??」「うん。頑張ったついでに今日のご飯は僕が作るよ。」
一式:「いっくんはもうちょっと私に似るのよー。変な女に引っかかるわよー(なでなで)」
孝人:「いつきのダイエットご飯にもしなきゃだしね……(視線をそらす)」
樹:(ころころすやぁ)(スマホを握りしめている)
一式:「じゃあ、任せちゃおうかしら。私はおなか一杯食べたいけど、いっくんに付き合ってあげましょう」
一式:(ぷにぷに)
一式:そういや偽一式の時の写真ってどうなってんの
GM:偽一式さんの時は巧妙に写真を撮っていなかったようだよ
一式:なんか運動会だか学芸会だかなかったっけ
一式:あら
一式:偽一式さん謎のきづかい
GM:息子と夫の写真はいっぱいある
GM:あれだ
GM:撮影者:偽一式さん
GM:故に写真がのこらないやつ
一式:息子と夫のスマホにも残ってないのね
GM:息子のスマホ=夫のスマホだけど、残ってないなあ
GM:訴えるの?
一式:なる
一式:なんでやwwwwww
孝人:「いつきが寝たら久しぶりに晩酌でもしようか。栃尾揚げがとどいてたし」
一式:「良いわね。じゃあその準備は私がするわ。」
一式:「あと、ちょっと事件のごたごたが過ぎて、いっくんと孝人さんには本当に申し訳ないんだけど、最近の家ことあんまりちゃんと見れてなくて、」
孝人:「楽しみにしてる。とりあえず鶏のささみで何作ろうかな――うん?」
一式:「運動会のこととか、最近のこと飲みながら話してくれる?聞いたら思い出すと思うから」
孝人:「え? あ、うん。思い出話にするのは少し早いけど、そうだね。DVDも見ようか」
一式:「あんまり味気ないといっくん嫌がるでしょうしねえ」
孝人:「すこし薄味に慣れてくれた方がいいんだけどなー。子供だから仕方ないかな…」
一式:「かっこよくてもこれじゃあだめよねえ。ごめんね、孝人さんも怖いことあって疲れてるとこなのに。」
一式:「少しずつ薄味にしていけばいっくんのことだから気づかないかもしれない」
孝人:「大丈夫だよ。はるちゃんもいつきもいるしね。それだけで疲れも吹き飛ぶからさ」
孝人:「おおらかだもんな」
GM:あと特になければ〆るよー
一式:「ふふー、じゃあ二人で頑張ってくれてるパパにハグぐらいしてあげましょう。」「あと、他人事みたいだけどいつきのそれは完全に孝人さん似だからね」
一式:〆で大丈夫ー
孝人:「吹き飛ぶ通り越して元気になるじゃん?」「えっ?」
孝人:「えっ?」
一式:「えっ?」
GM:こうしてキミには穏やかな日常が戻ってきて、家族のありがたみをかみ締めつつ偽一式の撮影したDVD鑑賞会が始まる――
一式:偽私いい仕事してやがる……ってなるといいな……
GM:そ、そこまでへたじゃないな…