38.約束

ScenePlayer:なし / Place:路上

GM夏の終わり。まだ空気が暑苦しい夕方。どこからか水まきの音が響いている。
GM路上に伸びる少年少女の影は長く揺らめく。
少女「……あはは、懐かしいなー。」
少年「めっちゃびびってたじゃん。」
少女「そりゃあ、怖かったよ? 真っ暗だったし、寒かったし……山の中で、怖かったもん」
少年「ブルブル震えてたもんな。」
少女「震えてはいないよ!」
少年「えー? そうだったっけー?」
少女「記憶のねつ造でしょー。」
少年「へいへいー」
少女「そんなこと言うと、天気日記移させたげない」
少年「いらねーよー」
少女「えぇー?」
少年「僕は宿題やらなくていいんだよーだ」
少女「なんで」
少年「なんでもー。……」
少女「……」
少年「……」
少女「ふーん……」
少年「……あ、ヤモリ。もう門限だろー。帰れ帰れ」
少女「言われなくても帰るよーだ」
GM少女は小さく舌を出して、少年から離れるように早歩き。
少年「おーう、急いで帰れ帰れ」
少年「……アイちゃん」
GM曲がり角。呼ばれた名前。小さい頃、長い名前が言えなくて、舌足らずに呼んでいた頃の。懐かしい名前に振り返った少女は小首を傾げる。
少女「……?」
少年「ヤモリ」
少女「? なあに?」
少年「……、……あのさ」
少女「うん、……どうしたの?」
少年「……なんでもない。」
GM言いよどんだ言葉。結局それは喉に詰まったまま。
少年「”また”な!」
GM少年は大きく手を振った。
GM――それが、”はじまり”の約束。